相乗:剋しすぎ
金乗木
金が木を剋すのは通常のことです。しかし金が強すぎるか木が弱すぎると、剋は「乗」になり、木は傷つきます。
古典の口訣
木弱逢金、必為砍折
弱い木が金に出会うと、切り倒されます。
相生は「木生火・火生土・土生金・金生水・水生木」、相剋は「木剋土・土剋水・水剋火・火剋金・金剋木」。図の五行をタップすると、生む・生まれる・剋す・剋されるの4つの関係がわかります。
2026年10月17日更新
相生相剋
五行をタップするか、Tabキーのあと矢印キーで切り替えられます。SVG・PNGは表示中の図をそのまま保存します。
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外側の緑の矢印が相生、内側の赤い矢印が相剋です。どの五行にも「生む・生まれる・剋す・剋される」の4つの関係があります。
5つの組み合わせ(タップで図に表示)
図の五行をタップすると、4つの生剋関係と、それぞれが何の通変星になるかがわかります。
ひと言でいうと
木生火・火生土・土生金・金生水・水生木
木剋土・土剋水・水剋火・火剋金・金剋木
覚え方
木・火・土・金・水を円に並べると、隣が「生」、ひとつ飛ばしが「剋」です。漢の董仲舒はこれを「比相生而間相勝」(隣り合うものは生じ、間を置くものは勝つ)とまとめました。
「木火土金水」は「もっかどごんすい」と読みます。金を「きん」ではなく「ごん」と読むのがポイントです。この並びはそのまま相生の順番です。
生む順番。四柱推命やほとんどの五行図はこの順です。
それぞれが次の五行を剋します。
最古の並び(『書経』洪範)。一から五の番号がつき、河図の生数と同じです。
中国語でよく言う「金木水火土」。言いやすい順で、相生・相剋とは関係ありません。
相生は「生み、育てる」関係で、母と子にたとえられます。順番は変わらず、木→火→土→金→水、そしてまた木へ戻ります。それぞれに伝統的な自然のたとえを添えました。
乾いた木は火がつきやすく、燃え続ける燃料になります。木は火の糧です。
命式では:日干が火なら、木は印星です。
燃えたものは灰になり、灰は土にかえって土を肥やします。
命式では:日干が土なら、火は印星です。
鉱石は岩や土の中でゆっくり育ち、金属はすべて大地から掘り出されます。
命式では:日干が金なら、土は印星です。
冷たい金属には露が結び、岩肌からは湧き水が出ます。秋の澄んだ気が冬の水になります。
命式では:日干が水なら、金は印星です。
雨や川の水が根を養います。水がなければ草木は育ちません。
命式では:日干が木なら、水は印星です。
相生もほどほどが大切です。古典の口訣は失敗を2つに分けます。「母多子病」は生む側が多すぎて子をつぶすこと、「子多母弱」は生まれる側が多すぎて母を消耗させることです。口訣を選ぶと図に表示され、多すぎる五行は大きく、傷つく五行は小さくなります。
母多子病:生む側が多すぎる
子多母弱:生まれる側が多すぎる
金頼土生、土多金埋
金は土に生じられますが、土が多すぎると埋もれてしまいます。助けすぎも圧迫になります。
相剋は「抑える、制する」関係で、壊すことではありません。順番は木→土→水→火→金、そしてまた木へ。どの五行もひとつを剋し、ひとつに剋されるので、ひとつだけが突出することはありません。
| 相剋 | 自然のたとえ | 命式では | 剋しすぎ(相乗) | 反剋(相侮) | 通関の五行 |
|---|---|---|---|---|---|
| 木土木剋土 | 木の根は固い土をほぐして養分を吸い、斜面の土を支えます。 | 土は木の財星、木は土の官星。 | 土衰逢木、必遭傾陥木乗土 | 木能剋土、土重木折土侮木 | 火 |
| 土水土剋水 | 堤防やダムが川の流れを導き、乾いた土はあふれた水を吸います。 | 水は土の財星、土は水の官星。 | 水弱逢土、必為淤塞土乗水 | 土能剋水、水多土流水侮土 | |
| 水火水剋火 | 水は火を消し、熱くなりすぎたものを冷まします。 | 火は水の財星、水は火の官星。 | 火弱遇水、必為熄滅水乗火 | 水能剋火、火炎水灼火侮水 | 木 |
| 火火剋金 | 炉の熱が金属をやわらげ、新しい形に変えます。 | 金は火の財星、火は金の官星。 | 金衰遇火、必見銷熔火乗金 | 火能剋金、金多火熄金侮火 | 土 |
| 木金剋木 | 斧やのこぎりが木を切り倒し、材木に仕上げます。 | 木は金の財星、金は木の官星。 | 木弱逢金、必為砍折金乗木 | 金能剋木、木堅金欠木侮金 | 水 |
相剋は五行がバランスを保つしくみです。堤防があるから川は形を保ち、剪定するから木はまっすぐ育ち、炉を通るから鉱石は刃物になります。これを「制化」といい、旺じた五行ほど剋されてはじめて役に立つと考えます。命式でも、身強の日干には適度な官星があるほうがまとまります。
剋が成り立つには、剋す側に十分な力が必要です。剋される側がずっと強いと、剋は失敗して自分が傷つきます。固い木は斧を欠けさせ、大水は堤防を押し流します。この逆向きの剋が、次に説明する「相侮」です。口訣を選んで「うまくいく剋」と「反剋」を比べてみてください。
宜剋:旺じたものは剋されて器になる
反剋:剋される側が強すぎる
金旺得火、方成器皿
金が旺じたら火で鍛えてこそ、鉱石が役立つ器になります。
通常の相剋のほかに、東洋医学や四柱推命では2つの異常な剋を考えます。相乗は剋しすぎ、相侮は逆向きの剋です。どちらも原因は同じで、ある五行が多すぎるか少なすぎることです。
気有余、則制己所勝而侮所不勝;其不及、則己所不勝侮而乗之、己所勝軽而侮之。
現代語訳:ある気が余っていると、自分が剋すものを抑えつけ、自分を剋すものまで侮る。足りないと、自分を剋すものに侮られて乗じられ、自分が剋すものにも軽んじられて侮られる。
五行を選ぶ
相乗:剋しすぎ
金が木を剋すのは通常のことです。しかし金が強すぎるか木が弱すぎると、剋は「乗」になり、木は傷つきます。
古典の口訣
木弱逢金、必為砍折
弱い木が金に出会うと、切り倒されます。
相侮:逆に剋す
本来は金が木を剋します。しかし木が強すぎるか金が弱すぎると、矢印が反転して木が金を侮ります。
古典の口訣
金能剋木、木堅金欠
金は木を剋しますが、木が固すぎると刃が欠けます。
| 相乗:剋しすぎ | 相侮:逆に剋す | |
|---|---|---|
| 向き | 相剋と同じ(金→木) | 相剋の逆(木→金) |
| 原因 | 剋す側が強すぎる、または剋される側が弱すぎる | 剋される側が強すぎる、または剋す側が弱すぎる |
| 例 | 「木弱逢金、必為砍折」:弱い木は金に切り倒される | 「金能剋木、木堅金欠」:固い木が金の刃を欠けさせる |
| 整え方 | 弱い側を助ける(生む五行・同じ五行)か、剋す側の力を洩らす | 剋す側を強める、または強すぎる側を洩らす |
「生剋制化」とは、相生と相剋が互いに抑え合ってバランスを保つという考え方です。いちばん実用的なのが「通関」で、剋す側が生む五行を間に置くと、相剋が相生の流れに変わります。2つの五行を選んで、通関の五行を探してみましょう。
1つ目の五行
2つ目の五行
通関の五行は、必ず剋す側が生む五行です。各行の口訣は同じことを反対側から言っています。強い五行は、自分が生む五行で洩らすのがいちばん穏やか、ということです。
強すぎる五行は「剋す・洩らす・耗らす」、弱すぎる五行は「生む・扶ける」で整えます。命式にどれが必要かは、数ではなく日干の身強・身弱と喜用神で決まります。
横に読みます。行の五行が「自分」、列が相手で、マスは自分から相手への関係です。マスをタップすると、上の五行図にその組み合わせが表示されます。
| 自分↓ 相手→ | 木 | 火 | 土 | 水 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 木 | |||||
| 火 | |||||
| 土 | |||||
| 水 |
木剋土タップで五行図に表示
四柱推命では、日干を中心にほかの五行を読みます。自分を生む五行は印星、自分が生む五行は食傷、自分を剋す五行は官星、自分が剋す五行は財星、同じ五行は比劫です。日干の五行を選ぶと、通変星の配置がわかります。
日干の五行
5つのグループは同じ円の上にあるので、同じ順番で生じ、剋し合います。「殺印相生」「食神制殺」などの組み合わせは、この10本の関係から生まれます。
相生
相剋
日干を見つける
日柱の天干があなた自身です。その五行を円の中心に置き、ほかの五行をそこから読みます。
五行の強さを量る
どの五行が強く、どれが足りないか、日干が身強か身弱かを確かめます。強弱によって、生まれるのが良いか、剋されるのが良いかが変わります。
生剋の流れをたどる
財が官を生み官が印を生むような流れ、通関が必要な相剋、命式が頼りにしている五行を探します。それが喜用神です。
五行の「行」は「めぐる、動く」という意味です。木火土金水は5つの物質というより5つの変化のかたちで、2,000年以上にわたり季節・方位・からだ・運命を説明するのに使われてきました。五行思想は少しずつ積み重なってできあがりました。
周代
最古の記録:『書経』洪範
洪範篇は五行を「水・火・木・金・土」の順に挙げ、それぞれの性質を記します。水は潤下、火は炎上、木は曲直、金は従革、土は稼穡。
春秋時代
「五材」
『春秋左氏伝』は「天は五材を生じ、民は並びに之を用う、一も廃すべからず」と述べます。この頃の五行は、暮らしに欠かせない5つの材料でした。
戦国時代
鄒衍と陰陽五行説
鄒衍は五行を陰陽と結びつけ、「五徳終始」を説きました。王朝はそれぞれひとつの徳(五行)で治め、相剋の順に次の徳に取って代わられるという考えです。秦の始皇帝は水徳を名乗り、周の火徳に勝つとしました。
前漢
董仲舒が相生と相勝を記す
『春秋繁露』には「五行相生」と「五行相勝」の篇があり、木・火・土・金・水の順を定めて「比相生而間相勝」と述べています。
漢代
医学:『黄帝内経』
『黄帝内経』は五行を五臓・感情・季節に対応させ、相乗・相侮も説明しました。今も東洋医学の基礎になっています。
隋代
蕭吉『五行大義』
当時の五行説を集大成した書物です。早くから日本に伝わり、陰陽道や暦に大きな影響を与えました。
唐〜宋
四柱推命:日干から五行を読む
李虚中や徐子平が干支による命術を築き、徐子平は日干を中心に据えました。五行の生剋はここで通変星となり、今の四柱推命の基本になりました。
最古の五行の記述は、生剋ではなく五行それぞれの性質を語っています。洪範の順は水・火・木・金・土で、一から五の番号がつきます。
水は潤下(じゅんか)
水はうるおし、下へ流れます。低いところへ向かう性質です。
火は炎上(えんじょう)
火は燃え上がり、温め、照らします。
木は曲直(きょくちょく)
木は曲がったりまっすぐ伸びたりしながら、上へ外へと育ちます。
金は従革(じゅうかく)
金は従い、変わります。溶かして鋳直し、形を変えられます。
土は稼穡(かしょく)
土は種をまき、収穫する場です。万物を受け止め、実らせます。
五行は身近にあります。曜日の火曜日・水曜日・木曜日・金曜日・土曜日は五行の名をもつ五惑星から、土用の丑の日の「土用」は季節の変わり目を土に当てたことから来ています。東洋医学の五臓、風水の方位にも五行が使われています。
五行はそれぞれ季節・方位・色・臓腑などにも対応します。どれも同じ古典に由来します。五行をタップすると詳しいページへ進めます。
このページの生剋の規則、口訣、歴史は、以下のパブリックドメインの古典によります。